「幸福の追求」は大いにすべきだと思うけど、その「幸福」にしがみついて不幸になるケースもある。それはいったい、何故かしら?「失われた私」を探して(57)
幸福ってなんだろう。世の中には他人のカードで幸せになろうとする人もいる。でも、それを手放さないことに執着してしまったら、それは果たしてあなたを幸せにするのでしょうか?

公開日:2026/09/05 02:01
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「失われた私」を探して他人のカードを欲しがってたら、いつまで経っても幸福になれない。
「幸福」への執着は、他人のカードへの執着なの。
えーと、前回の原稿がちょっと消化不良というか、自分の言いたいことがまとまっていなかった気がするので、大いに反省しています。
そう、私はまだまだ未熟なの。
すべてのことにちゃんと答が出せるわけじゃなく、いつも迷いながら考えながら書いている。
途中で躓いたり、思考の糸がもつれてこんがらがっちゃったりしても、それもそのまま書くようにしています。
ああでもないこうでもないと悩みながら考える過程にも、ちゃんと意味があると思ってるからね。
だから性急に結論を望む人は「何が言いたいんだよ!」と苛つくだろうし、それに関しては「すみません!」と謝るしかないんだけど、でもね、そういう人たちにはまっすぐに迷いなく明確な結論を教えてくれる自己啓発本とかの方が向いてると思うんで、そっちを読んでください。
私は、私と一緒に迷い、悩み、考えてくれる人たちに読んでほしいの。
さて。
前回、私は「幸福への執着を手放すべきじゃないのか?」と書きました。
これ、わかりにくかったわね。
だって、私にもよくわかってなかったから。
私はね、幸福を諦めろとか、幸福を追い求めるなと言いたいわけじゃないの。
幸福を追い求めるのは、大いに結構よ。
誰だって幸福になりたいもん。
私たちは、自分を幸せにするために生きてるんでしょ?
その欲求を否定する気なんか、これっぽっちもない。
いいのよ、手当たり次第に、あなたの幸福を追い求めなさい。
手に入った途端に泡雪みたいに溶けてなくなる束の間の幸福でもいい、あるいは、手に入れた途端に「あ、これじゃなかった」とガッカリしちゃうような偽物の幸福でもいい。
だって、自分の幸福が何なのか、最初からわかってる人なんかいないのよ。
まずはそれを知ることから始まるんだから、たくさん失敗してたくさん失望して、「私の幸福って何なの!?」と問い続けなさい。
そうやって問い続けることに意味があるんだからね。
もちろん、その途上で道に迷ってドン詰まりになる人もいるわよ。
それが私だった。
私も含めて「依存症」になる人は、自分の幸福を探しているうちに道に迷って、袋小路にハマっちゃった人たちだと思う。
買い物、ギャンブル、アルコール、ドラッグ、恋愛、自傷行為……それらはすべて、束の間の幸福な幻を見せてくれる。
たとえ幻でも、それを一瞬でも体感した人は、偽物だと知りつつ手放すことができなくなるの。
手放しちゃうと、自分は何者でもなくなってしまう。
あの殺伐とした現実に引き戻されて、魔法の解けたシンデレラみたいに惨めな自分に逆戻りしてしまう。
だから、必死で「幸福」の幻に縋りつくのよ。
それが「執着」だと、私は言ってるの。
以前にも言ったとおり、私は自分の依存症体験を後悔してない。
あれがなかったら、私は今でも、自分の幸福が何なのかわからなくて、ジリジリした焦燥感にまみれて生きてると思うから。
他人の持ってるカードが羨ましくて、欲しくてたまらなくて、それが手に入ったら幸せになれるなんて、いまだに本気で思ってたかもしれないの。
でも依存症になって、手に入れたものにことごとく失望して、「あー、ねぇ、幸せって何なのよ?」なんて虚ろな目になって、それを何度も繰り返した挙げ句に、初めて目が醒めた。
そっか、他人のカードは私の幸せなんかじゃないんだわ、と。
私は私のカードで何とかやりくりして、私の幸福を手に入れるしかないんだわ、と。
幸福になりたくて「愛」を欲しがる人もいる。
でも待って。その「愛」は、ほんとにあなたを幸せにしてくれてる?
世の中には、他人のカードを欲しがる人ばかりじゃなくて、他人のカードで幸せになろうと欲する人もいる。
誰かに幸せにしてもらえると考えている人たちよ。
もちろん、それで成功する人もいるんだろうから、他人のカードをあてにする人たちを「間違ってる!」と決めつける気はないわ。
それも、ひとつの生き方でしょう。
ただし、そこには大きな罠が潜んでいることを忘れないでほしい。
つまり、他人のカードで幸せになった人は、相手を手放すことができなくなるの。
だってその人を手放しちゃったら、自分は何者でもなくなるからね。
依存症の人たちが「魔法でシンデレラになった経験を手放せなくなった人たち」だとすれば、その人たちは「王子様を手に入れちゃったせいで、王子様を手放せなくなっちゃう人たち」よ。
つまり、王子様に依存してしまうの。
これって、依存症と違って明らかな病理ではないから、本人にまったく病識はない。
せっかく手にいれた幸せを手放したくないのは当然でしょ、なんて思ってる。
でもね、その執着が相手を追い詰めて泥沼にハマってしまったら、それは立派な「病理」なの。
私の知人にも、恐ろしいほど嫉妬深くて、ほとんどストーカーまがいに追跡アプリで相手の行動を探ったり、些細なことで浮気を疑ったりして大騒ぎするような人がいる。
もちろん相手もほとほと嫌気がさして別れようとするんだけど、そのたびに「死ぬ」と脅かして引き留めるのよね。
本気で死ぬ気なんかないのは明白だから、私なら「じゃあ死ねば」って縁切っちゃうような気もするけど(これはこれで薄情過ぎてろくな人間じゃないわね)、そのたびに相手は「しょうがないなぁ」と許してよりを戻してるから、まぁこれも「愛」なんだろうな、と私は呆れながらも感心してるわ。
でも彼女は、何度そうやって許されても、それを「愛」だと受け止めないの。
とにかく「大事にしてくれない、きっと浮気してる、私は愛されてない」というストーリーから離れられない。
自分で勝手に「愛されてない物語」を作り上げて、いつもいつも不安で怒っているのよ。
「許されること」がどんなに大きな愛か、わかろうともしないのね。
彼女は、彼と一緒に旅行に行ったり贅沢な食事を楽しんだり(←ちなみに、それらはすべて彼のお金よ)することに、心からの幸せを感じているらしい。
だから、なんとしても彼を手放したくない。
そして、その「手放したくない」という気持ちを「愛」だと思っているようなのね。
私は彼をこんなに愛してる、だから失いたくないのよ、と。
まぁ、わからないでもないけど、だからって相手を監視したり束縛したり「死ぬ死ぬ詐欺」で脅かしたりするのは、もはや「愛」なんてものじゃなく、単なる「執着」にしか見えないわ。
でも彼女は、自分の嫉妬心や束縛は「愛」ゆえだと思い込んでて譲らない。
「愛」という言葉で正当化してしまうから、厄介なのよ。
でもさ、彼女が執着してる「幸福」は、はたして本当に彼女を幸せにしてるのかしら?
私が「幸福への執着」と呼んでいるのは、こういう現象ね。
ほんとは「愛」じゃないものを、「愛」だと思い込んでる。
ほんとは「幸福」ではないものを「幸福」だと思い込んでる。
まぁ、そのまま思い込みだけで生きていけるなら、それでもいいとは思うんだけど、現に本人も相手も苦しんでいるんだから、いつか終わりが来ると思うわ。
そうなったら、彼女はさぞかし絶望するでしょうね。
今度こそ、本当に死んでしまうかもしれないわ。
だから、そんなことになる前に言っておきたいのよ。
あなたが「愛」だと思ってるもの、あなたが「幸福」だと思っているものを、一度疑ってみなさい。
そして、思いきって手放してみなさい。
そしたら、そこに残るのは、はたしてあなたが恐れているような「何者でもなくなった私」かしら?
ううん、たぶん違うと思うわよ。
そこには、あなたが予想だにしなかった新しい人生が広がってるの。
きっと次の男が見つかるわ、なんてことを言ってるんじゃないわよ。
男がいなくても生きていける自分が見つかるのよ。
他人のカードに頼らずに生きていける自分がね。
もしかすると、その「自分」こそが、あなたを幸せにしてくれるかもしれないでしょ?
私が言いたいのは、そういうこと。
まだ完全ではないけれど、前回よりも少しはうまく言えたと思うわ。
「幸福への執着」は、あなたを幸福から遠ざけてしまうことがある。
でも、諦めずに、真摯に幸福を探し続けてほしいのよ。
他人のカードではなく、自分のカードで手に入れた幸福は、きっとあなたに自信をつけてくれるから。
だってね、結局のところ、あなたが欲しいのはたぶん、そんな「自信」と「肯定感」なんじゃないかしら?
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