Addiction Report (アディクションレポート)

「私の人生はこのためにあったんだ」 運命を変えた出会いと12ステッププログラム ギャンマネ(45)

借金を返済し終えて、鬱状態に陥った私。死ぬことばかり考えていたある日、仲間に誘われて渋々出かけた12ステッププログラムのセミナーで運命を変える出会いがありました。

「私の人生はこのためにあったんだ」 運命を変えた出会いと12ステッププログラム ギャンマネ(45)
この本の出版記念セミナーで、運命が変わりました。

公開日:2026/08/11 04:04

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連載名

ギャンマネ

「ギャンブルや買い物が問題じゃない。借金が問題なんだ」

そう思い込んでいた私ですが、借金を返してしまったら、本格的に鬱になりました。

それこそ

「何のために生きているのかわからない」

「どうせこの先もロクな人生じゃない」

「人生なんて辛いことしかない」

こんな反復思考が止まらなくなり、私は精神科の門を叩きました。そして「鬱病だね。薬を飲もう」と言われ、どびっくり。ついに処方薬をもらうほどの病気になったのかと思いました。

でもこの時本当に鬱病だったのかは微妙だったと思います。要は、依存も止まってるし、借金もなくなった。それでも気分が落ちているならそれは「鬱病だろう」と判断された気がしますが、今振り返ってみてもやはりあれは本当の病気は依存症の症状の一つだったと自分では思っています。

なぜなら薬を飲んではいましたが、なんの効果も変化も感じなかったこと。そのうちもっと死にたくなって、まとめてビールで流し込んだり(絶対にマネしないで下さい)していたのですが、何よりも、その後の衝撃的出会いで私は突然覚醒し、めちゃくちゃ元気に回復し、薬も勝手に止めましたが(絶対にマネしないで下さいPart2)、何の弊害もなくその後20年以上今日まで来ているんですね。本当の鬱病だったらあんな風にならないと思うんですよね。

運命を変えた出会い

その衝撃的出会いとは?

当時の私は、死ぬことばかり考えていたので、あんなに一生懸命だった自助グループもどうでもよい気がしてきていました。通ってもいたし、サービス活動もやっていましたが、「私だけは回復できない」とやけっぱちな気持ちになっていました。

そんな頃、ある民間団体の主催で、たまたま仲間たちに大人気だった先生の講演会があり、その先生を初めてギャンブルの家族の仲間たちに紹介したのが私だったので「りこさん、行くでしょ?」とみんなに誘われました。ですが、こっちは死ぬ気マンマンなのでセミナーなんて前向きなものに参加する気になれません。「う~ん、行かないかも」なんて答えていたところ、名古屋の仲間から電話がきたのです。

「りこさん、G先生のセミナー行きたいんだけど、たどり着けるか自信がないから案内して」と言うのです。当時はまだスマホもグーグルマップもない時代。東京のはずれの小さな公民館など、年配の女性では行く自信がなくても不思議はありません。「面倒くさいなぁ」と思いましたが、古い仲間の頼みなので、私も仕方なく参加することにしたのです。

大げさではなく、これが私の運命を変えました。

本当の12ステッププログラムのやり方に出会って

このセミナーは「日本の12ステップグループは、12ステッププログラムをちゃんとやってない。海外(特にアメリカ)では、こんな風にしっかりとプログラムをやるんだ!」という、熱いメッセージを語る大会のようなセミナーだったのです。

めちゃくちゃマニアックな話になってしまいますが、この2000年代前半当時、私が通っていた家族の自助グループも「12ステップグループ」の一員でした。日本でも依存症の自助グループの多くは1935年にアメリカで立ち上がったAA(アルコホーリクス・アノニマス)が開発した「12ステッププログラム」を謳ってはいました。でも実際にはやっていなかった!この気づきは衝撃的でした。

なぜならこの12ステップの書籍を毎回グループで読んでいたためになんとなく、

「12ステッププログラムと言うのは、読みながら悟っていくものなんだろう」と思っていたのです。

「12ステッププログラム」を一言で現すのは難しいのですが、回復プログラムと聞くと、世間の人は「依存(共依存を含む)を止めるためのプログラムですよね?」と思われるかもしれませんが、12ステップは「依存を止めるのは始まりに過ぎない。そこからやめ続け、よりよい人生、利他的な人生を生きるために、自分を変えていくプログラム」なんですよね。

日本ではあまりありませんが、欧米諸国では医学や心理学の学会でもこの12ステップに関する科学的な論文は数多く出されています。

でも私は、12ステップは哲学的な感じがするんですよね。『夜と霧』を書いたフランクル先生じゃないですけど「人生の苦しみにどう意味を見出すか」みたいな感じですね。

この12ステップを、ただ自分で読んで悟りを開くのではなく、本来はちゃんと経験した人からマンツーマンで教えて貰いながら、実際に自分の人生を振り返って表にまとめたり、過去に傷つけた人に埋め合わせしたりする行動をとるんだ!と聞いて本当に仰天してしまったんです。

生きる方向に舵が切られた瞬間

そしてこのセミナーに登壇していた当事者の方が「俺は、しらふになってからが苦しかった。人とうまく話せない俺は、酒を飲んで初めて他人とすんなり話せるようになった。酒があったから生きられた。それなのに酒を止めただけで幸せになんかなるわけない」とスピーチされたのを聞いて私は衝撃を受けました。「それ私!私と同じ。ギャンブルと買い物止めたら、何を頼りに生きたらいいかわからない」と、まさに頭の中を射抜かれたようでした。

「これだ!この12ステップをちゃんとやるしかない!」

まさに私の運命の舵が「生きる」という方向に切られた瞬間です。

人生にはターニングポイントがあると言われますけど、これって良い方に向かないと気づかないものなんだと思うんですね。私の場合は、漫画や映画の様にまさにはっきりとした、運命を変えるターニングポイントがあったのです。

私は、そのスピーカーの方が部屋を出られたのを見て、そのまま猛ダッシュで追いかけて行きました。そしてエレベーターの前にいたところで腕を掴み「私に12ステップを教えて下さい!」泣きながら縋りついたのです。変なおばさんに急にしがみつかれた青年は「あっ、えっ、うん」みたいなドギマギした表情でしたが、仲間の方を紹介して下さり、私は無事この12ステッププログラムをやり遂げることができたのです。

12ステップが教えてくれたこと

当時の私にこの12ステップが教えてくれたことは沢山あります。

私はそれこそ小学生のころから、「どうして人間関係ってこんなに難しいんだろう。どうしてこんなに私の周りにはどろどろとした事件が起きるんだろう」と思っていました。でも実は、自分が様々に人を振り回していること、そして「この場を丸く収めるのは私の責任だ!」とどんな場面でも思ってしまい、しゃしゃりでて引っ掻き回し、物事を大げさにしていること、そして結局自分がその仲間の中に居られなくなっていることなどに気づかされました。

これが12ステップのうちの、ステップ4、5「人生の棚卸し」と呼ばれる部分ですね。よく棚卸は辛い、しんどいみたいに言われるし、実際、そういう方もいるようですが、私はめっちゃすっきりしましたね。「人生の不可解な謎が解けた!」と思いました。

実際、私がスポンサーになると、スポンシーと呼ばれる12ステップの受け手側の仲間とは、爆笑しながら「棚卸し」をすることがよくあります。だって、自分の思考パターンで、同じ失敗を繰り返していたりすると、「周りに恵まれない私」なんてクヨクヨイジイジいじけてたのが、「なぁんだ、自分が巻き起こしてるんじゃん!」なんて可笑しくなっちゃうんですよね。「いや、むしろこっちが謝った方が良いよ!」「だよね~」なんて感じですね。

間違いを認めたら、自分は変われるという気づき

12ステップを知るまでは「問題は自分の方にある」なんて思った日には、「もう生きていけない」「死んでも認めるわけにはいかない」「プライドが許さない」なんて頑固に思い込んでいましたが、「自分の方にも問題はあって、そこ認められたら変えられるんだよね。だから自分がさっさと間違いを認めて、変わった方が早いし、楽だし、問題解決するんだよね」というこの気づき。これが私のその後の人生を大きく助けてくれることになりましたね。

ただでさえ衝動的で行動が早い私でしたが、いじけてる感情にとりつかれている時間もガッと短縮されたので、ますますやることが早くなった感じです。

銀座線の中で包まれた「回復の喜び」

そしてこのステップ4、5の棚卸しを終え、ステップ6、7に取り組んでいた時、銀座線の中で本当に感謝の念で自分が包まれた気がしたんです。

「あぁ、私の人生はこのためにあったんだ。貧乏なギャンブラー一族に生まれて、嫌な思いばかりしていたことも、ギャンブラーの夫とやめられなくて苦労したことも、みんな今日のためにあったんだ。私は、この経験を生かして、誰かを助けていくんだ。その役目に気づくために、今まで生きてきたんだ。ここまで導かれてきたんだなぁ」と、心から納得し実感したのです。

何か温かい繭のようなものに包まれた気がして、人目もはばからず涙が滂沱と流れ落ちました。

あの時の喜びは今も忘れたことはありません。そしてあの回復の喜びを超える経験はその後一度もありません。もう生涯において、あれを超えることなどないと思っています。

人間というのは神秘的だなと思います。本当に全身が逆毛立ち腕にはびっしりと鳥肌が立って「これで良かったんだ」とすべてを納得した気持ちになったんです。

そして過去の辛い経験という点が意味のある線で繋がった、まさにConnecting the Dotsの体感が、今も自分の進む道を「これでいい」とゆるぎないものにしてくれていると思います。

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